子どもの発達に大切な能力とは

「発達検査をしてほしい」という保護者からのご依頼が本当に多いです。あたりまえのことですが、そのお子さんの能力について、インフルエンザの検査のように、鼻から綿棒をつっこんだり、血液を採って、すぐに白黒つける検査なんてありません。でも、自動販売機に小銭を入れると缶コーヒーがすぐに出てくるかのように、お子さんの能力検査を執拗に求められる場合があります。最近はホント、待てないんですよね、親も。

うちには公認心理師が二人いて、発達検査が必要と私が判断したお子さんには予約の上で行っています。じつは、私はたくさんのご家族やお子さんをみせて頂いているので、わざわざ詳しい検査をしなくても、本人の発達の度合いやご家族の育児スキルについては、30分ほどお話すれば、大体はわかるんですよ。

初回の診察では、お子さんを診察したり、会話したり、行動観察をしたり、また、ご家族や子育て環境も詳細にお聴きしないといけないので、お待たせする時間は長くなりますが、午前や午後の診察の最後に回ってもらうことをご承諾頂いた上で、予約を取るようにしています。なのに、最近、Googleでのクリニックへの書き込みで、長く待たせた上に、検査もしてくれなかったと、最低点をつけられた方がおられました。

せっかく来院して頂いたのに、満足のいく診察にならなくて申し訳なかったと思う反面、ここまでネットでひどい口撃?を書き込む親もどうなの~と残念に思ってしまいます。家族背景として似たようなケースをたくさん診察していますので、どなたなのか一切、確認はしていません。なので、ここからは一般論になりますが、お子さんの発達が心配な場合、①お子さん自身の特性が強い場合、②保護者の子育てスキルや育児環境に問題がある場合、③親子の関係性、つまり親と子の相性が悪い場合と、大きく分けると3つのパターンがあり、それらがミックスされているようなケースがほとんどです。

保護者によっては、親だけど大人になりきれていないというか、他罰的で、他者のあら探しばかりする、かといって自分にも自信がない、子育ても面倒くさい、自分の責任逃れのために子どもにレッテル貼りをしたがるような方もおられます。せっかく授かった命なのに…と、悲しくなってしまいます。もちろん、そんなこと親御さんに「あなたが原因です」と直接は言えません。結局、そんな未熟な親を傷つけたり、怒らせるだけなので。

先日も相談を受けた不登校の小学生、小さい頃から発達検査を何度もされていました。いくつもの病院や施設へ相談にも行かれています。発達検査の点数としてはむしろ頭の良い、知的にはまったく問題のないお子さんでした。でも、高学年でひらがなさえ書けません。お母さんのお子さんに対する発達不安は非常に強い。お子さんへの基本的な関わり方がわかっておられないし、ほとんど手をかけて育てておられない。夫婦関係も悪く、お母さん自身に特性があるように思いました。お母さん自身が幼少の頃にしっかり愛されて育てて貰えていないような場合も多々あるようにお見受けいたします。かわいそうなんですけどね。

小学生で不登校、ひきこもり、昼夜逆転、メディア依存、これからこの親子にどんな未来が待ち受けているのだろうと、暗澹たる気持ちになりました。とりあえず、ご縁があって、私が子育てにわずかでも協力できそうなご家族をできる限り少しでも支援していこうと、改めて誓いました。最近、「子育てのエビデンス」という本を読んで、感動しました。本当に大切な、生きていくための能力とは検査で点数がつけられる「認知能力」だけではなく、他者の気持ちを理解し、状況を判断するような「非認知能力」であることが証明されています。なんでも数字で見てすぐに判断してしまいがちな世の中になっています。まずは、アタッチメント、次回は、子どもの叱り方、褒め方について、まとめてみたいと思います。

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